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Selected Papers(内分泌領域)

各種浸透圧領域における血漿バソプレシンとコペプチンとの相関

岩﨑泰正

Fluid Management Renaissance Vol.1 No.2, 79-80, 2011

Correlation of plasma copeptin and vasopressin concentrations in hypo-, iso-, and hyperosmolar States.
Balanescu S, Kopp P, Gaskill MB, et al.
J Clin Endocrinol Metab 96 : 1046-1052, 2011

要 約

 近年,バソプレシンと共通の前駆体に由来するアミノ酸39個のペプチドであるコペプチンの測定系が開発され,心不全,外傷,感染症など各種ストレス性疾患の重症度判定に利用されている。しかし,浸透圧調節系の機能評価における血漿コペプチン測定の意義は明らかにされていない。そこで,血漿コペプチンとバソプレシンの相関を,20名の健常者を対象として各種浸透圧領域において検討した。すなわち,水負荷試験(20mL/kg体重の飲水)および3%高張食塩水試験により血漿浸透圧を下降ないし上昇させた条件下で経時的に採血し,血漿浸透圧および血漿コペプチン濃度,血漿バソプレシン値を測定した。コペプチンの測定には,ELISA法(LUMItest CT-ProAVP test(B・R・A・H・M・S社))を用いた。
 その結果,血漿コペプチン濃度と血漿バソプレシン値は同等の動きを示し,Spearmanの順位相関係数でみた血漿浸透圧との相関はrs値がバソプレシン0.49に対しコペプチン0.77と良好であった。また,バソプレシンとコペプチンの相関はrs値0.8と高く,強い有意な相関(p<0.0001)を示した。低浸透圧領域および正浸透圧領域,高浸透圧領域ごとに相関をみると,高浸透圧領域(血漿バソプレシン値,コペプチン濃度が上昇した条件下)で特に強い相関が認められた。また,コペプチンと口渇感,尿浸透圧との有意な関連も認められた。血漿コペプチン濃度が血漿バソプレシン値と同様に生理的な水代謝状態に応じて変動したことを考慮すると,水代謝異常を呈する疾患の鑑別診断において,血漿コペプチン濃度は血漿バソプレシン値の代理マーカーとして使用可能であると推察される。

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