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名画で読む「骨」の物語 第4回 頭蓋骨は何を語る?

O.li.v.e.―骨代謝と生活習慣病の連関― Vol.6 No.1, 60-61, 2016

人間は何にでも序列をつけたがるようで,かつては絵画芸術までジャンルによって格付けしていた.歴史画(宗教画,神話画を含む)は知的で道徳性も備えたハイアートだとしてトップに置き,次いで肖像画,風俗画,風景画,静物画の順だ.現代人にはナンセンスに思われるが,アカデミックな世界で出世するには大問題だったし,作品の売買価格にも影響した.そこで下位ジャンルの画家たちは,自作のステイタス・アップのためさまざまな工夫を凝らすようになる.肖像画なら背景に歴史的事件をはめ込み,風景画の場合はたとえ小さくでも神々を描き入れる,というように.静物画もそうだ.「生きた自然」ではなく「死んだ自然」を扱い,精神ならぬ物品の魅力を描くがゆえに貴からず,と見放されがちなので,逆手を取って物そのものにキリスト教的比喩を散りばめ,中世以来のヴァニタス(=「虚栄」「人生の虚しさ」「現世の無常」といったテーマ)を前面に押し出すことで,知的かつ道徳的な絵画であることを強調してゆく。

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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抄録