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Think about Pain

若手ドクターに伝えたい痛みの診療 第2回 痛みのメカニズムを再考しよう

土肥修司

Practice of Pain Management Vol.5 No.4, 32-36, 2014

「はじめに」痛みには,感覚的な構成要素(疼痛刺激を感知・伝達)と感情的な要素(情動的・行動的な反応の修飾過程)とがある.一般的には,前者は急性痛に属し,整形外科医や麻酔科医が得意とする分野,後者は慢性痛であり痛みの治療に関心のある精神神経科が得意とする分野である,と私は思ってきた.だが,どうもそうでもなさそうだ,というのが最近の傾向だ.比較的理解が容易であると思われてきた腰痛でさえ,急性期を過ぎた慢性期では,原因が特定できる腰痛は15%で,85%は原因が特定できない非特異的腰痛であるという.感覚神経と交感神経は伴走するだけではない.痛覚伝導路と交感神経系は受容器から末梢神経,脊髄後根神経節,脊髄後角細胞そして上位中枢までのさまざまなレベルで交通をもつ.交感神経の支配は広範で複雑,脊髄では感覚系神経に比べて2~3椎体広いこともよく知られている.したがって,外傷やその修復過程では,必ずといってよいほど,交感神経活動が痛みの受容や修復にも影響を及ぼしている.慢性痛をもつ患者は経過が長い.そのあいだに修復過程や治療によっても変化を遂げているダイナミックなプロセスであるという認識で,痛みの機序を再考することも重要である.

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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