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Special Articles

肝癌の予後に関連する因子

①サルコペニアと肝癌・肝硬変の予後

白木亮

The Liver Cancer Journal Vol.10 No.1, 24-29, 2018

サルコペニアは骨格筋量の減少と筋力もしくは身体機能(歩行速度など)の低下などにより定義される。慢性肝疾患患者,特に肝硬変患者において,サルコペニアの頻度は11~68%で高率であると報告されている。また肝硬変患者,肝癌患者(内科的治療・外科的治療),肝移植患者のいずれにおいても,サルコペニア合併は肝機能とは独立した予後因子であると報告されている。そこでサルコペニアの統一評価のため,2016年に日本肝臓学会によって,握力による筋力とCTあるいは生体電気インピーダンス法による骨格筋量を評価することで診断する「肝疾患におけるサルコペニア判定基準」が作成された。サルコペニア合併慢性肝疾患患者への介入として,運動や分岐鎖アミノ酸などの栄養補助による筋力や筋量の改善が報告されている。今後多数例での前向きな検討がさらに必要であるとともに,サルコペニアを改善することで予後が改善するか否かの検討も必要である。
「KEY WORDS」慢性肝疾患,サルコペニア,疫学,肝疾患におけるサルコペニア判定基準,予後,分岐鎖アミノ酸(branched-chain amino acids:BCAA)

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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