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肝発癌のリスク因子

ウイルス性肝炎,およびウイルス排除後の発癌リスクと,その予測モデル

黒崎雅之泉並木

The Liver Cancer Journal Vol.7 No.4, 28-36, 2015

「Summary」肝発癌における最大の要因はB型肝炎,およびC型肝炎であり,加えて高齢,肝線維化(肝硬変)も明確な発癌リスクである。B型肝炎で発癌と関連するウイルス要因は,HBe抗原陽性,B型肝炎ウイルス(HBV)DNA量高値,genotype C,コアプロモーター遺伝子変異型,HBs抗原量高値である。C型肝炎からの発癌予測には,肝線維化を反映する血小板数やFIB-4などの非侵襲的肝線維化予測値も臨床的に有用である。C型肝炎ウイルス(HCV)排除後の発癌には,上記要因のほかに肝脂肪化,糖尿病,治療後のAFPも関連する。B型肝炎,C型肝炎のいずれにおいても,これらリスク因子を統合したスコアリングや予測モデルが考案されている。これらのリスク因子や予測モデルを活用し,発癌リスクが高い症例を見逃すことなく認識し,的確な抗ウイルス治療や肝細胞癌(HCC)サーベイランスを行うことがきわめて重要である。
「Key words」HBV DNA,HBs抗原,GAG-HCCスコア,REACH-Bスコア,HCV,FIB-4,糖尿病,肝脂肪化,AFP,ScoreHCC

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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