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肝癌の予後に影響する病態・合併症

肝癌とミトコンドリア異常

日野啓輔原裕一

The Liver Cancer Journal Vol.7 No.1, 32-37, 2015

「Summary」肝癌ではミトコンドリアDNAの変異が多く認められミトコンドリア障害の存在が示唆される。ミトコンドリア障害はミトコンドリアの品質管理機構からの逸脱を意味するが,HCVはミトコンドリアの品質管理を障害し,持続的なROS産生亢進を来すことで肝発癌に関与すると考えられる。また,ミトコンドリア障害に基づくROS産生亢進は細胞内のリン酸化シグナルを亢進させたり,低酸素シグナルを亢進させたりして肝発癌のみならず肝癌の進展にも重要な役割を果たす。
「はじめに」最近のミトコンドリア研究では,いわゆるミトコンドリア病と呼ばれるようなミトコンドリア異常が原因となる疾患の解明よりも,むしろ疾患によって引き起こされたミトコンドリア異常がどのように疾患の病態や進展を修飾するのかについての関心が高まっている。生活習慣病や神経変性疾患のみならず,発癌や癌の進展にもミトコンドリアの機能異常は深く関与していることが次第に明らかにされつつある。本稿では癌のなかでも肝癌に注目し,ミトコンドリア異常と肝癌の病態との関連について解説する。
「Key words」活性酸素種,C型肝炎ウイルス,マイトファジー,ミトコンドリアDNA,リン酸化シグナル,低酸素シグナル,HIF

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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