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レジデントからのQ&A

残胃に対するヘリコバクター・ピロリ除菌の適応について教えてください

野村幸世

胃がんperspective Vol.7 No.2, 48-49, 2014

「Answer」胃癌に対して, 内視鏡治療が施行され, ほぼ全胃が残っている場合には, 除菌による二次癌の発生率の低下が報告されました1). これに伴い, H.pylori感染のある慢性胃炎に対して, 除菌療法が保険適応となりました. そこで, H.pylori感染陽性の慢性胃炎のある残胃に対する除菌も保険適応となりました. しかし, 残胃に対し, H.pyloriの除菌をすることで, 残胃の二次癌発生を予防し得たという直接的な臨床試験の報告はありません. 早期胃癌手術患者での残胃癌罹患率は5年で2.4%, 10年で5.6%, 15年で8.3%と報告されています2). 残胃癌と一口にいっても, 残胃新生癌, 残胃潜在癌の別がありえます. 胃癌による切除胃1,739例を全割したところ, 単発癌と診断されていた65例が二重癌であり, 二重癌以下と診断されていた33例が三重癌以上であった(計98例5.6%)と報告されています3).

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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