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専門医のためのアトラス

胃底腺型胃癌

八尾隆史上山浩也

胃がんperspective Vol.7 No.2, 30-34, 2014

胃底腺型胃癌は, 胃癌の新しい組織亜型である. 近年, 国内外の施設で発見されるようになったが, まれな病変であり, その特徴はまだ広く普及しているとはいい難い. 本稿ではその臨床病理学的特徴や悪性度について解説する. 「はじめに」胃底腺への分化を示す胃癌は2007年にTsukamotoら1)が最初に文献報告し, 2010年にわれわれのグループであるUeyamaら2)が胃底腺への分化を示す低異型度分化型胃癌を胃底腺型胃癌(主細胞優位型)という名称で新しい概念として提唱した. この癌は国内では次々と発見され, 海外からの報告も散見されるが, 頻度はまれであり, まだまだその概念が広く普及しているとはいい難い. 本稿では, 胃底腺型胃癌の臨床病理学的特徴, 発育進展様式や悪性度について解説する. 「組織学的特徴」腫瘍細胞は胃底腺, 特に主細胞に類似した細胞質がやや淡明な灰青, 好塩基性であることが多く, 幽門腺細胞や壁細胞に類似したものも認められ, これらがさまざまな割合で混在し, 腺管あるいは腺房構造をとり不規則に分枝しながら増殖する.

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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