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早期大腸癌の内視鏡治療・外科手術の最前線

腹腔鏡下手術による早期大腸癌の治療

Laparoscopic surgery for early colorectal cancer

内藤正規佐藤武郎池田篤小倉直人中村隆俊渡邊昌彦

大腸癌FRONTIER Vol.4 No.3, 75-78, 2011

Summary
 腹腔鏡下手術は整容性に優れた低侵襲手術である。大腸癌治療ガイドラインによると,結腸癌および直腸S状部癌に対するD2以下の腸切除に適しており,cStage 0~Ⅰがよい適応である。D3を伴うcStageⅡ~Ⅲに対しての腹腔鏡下結腸切除術や,横行結腸癌,高度肥満例,高度癒着例は難度が高く,習熟度を十分に考慮して適応を決めるべきであり,直腸癌に対する腹腔鏡下手術については有効性と安全性は確立されていない。今後,本邦における進行結腸癌に対する腹腔鏡下手術と開腹手術のRCT(JCOG0404)や,cStage 0およびcStageⅠの直腸癌に対する腹腔鏡下手術の妥当性を検討するRCT(Lap RC)の解析結果が,進行癌や直腸癌に対する腹腔鏡下手術の位置付けを決定するものとして期待される一方,腹腔鏡下手術の普及には,指導者の育成や手技の均てん化も重要である。

Key words
●早期大腸癌 ●腹腔鏡下大腸切除術 ●適応 ●手術手技 ●低侵襲

はじめに

 腹腔鏡下手術は1990年にCuschieriらが胆嚢摘出術を報告して以来1),整容性に優れた低侵襲手術として急速に普及した。大腸癌においては,1993年に渡邊らが早期大腸癌に対しての腹腔鏡下大腸切除術を報告して以降2),2002年に保険適応が大腸癌全体に拡大されたことも受け近年増加傾向にある。腹腔鏡下手術の最大の利点は,その低侵襲性にある。術創が小さいことによる整容性の向上のみならず,創痛の軽減や腸蠕動の維持によって,早期離床や経口摂取開始時期の短縮などに利益をもたらした。また,内視鏡の拡大視効果が,微細血管や神経の把握を容易にし,出血量の減少や神経温存も可能にした。
 本稿では,早期大腸癌に対する腹腔鏡下大腸切除術の現況と実際の手術手技と成績について述べる。

腹腔鏡下大腸切除術の適応

 大腸癌治療ガイドライン(医師用2010年版)では,腹腔鏡下手術は結腸癌および直腸S状部癌に対するD2以下の腸切除に適しており,cStage 0~Ⅰがよい適応であると記されている。さらに,D3を伴う腹腔鏡下結腸切除術は難度が高いので,cStageⅡ~Ⅲに対しては習熟度を十分に考慮して適応を決めるべきとしている。また,横行結腸癌や高度肥満例,高度癒着例も高難度であるとしているほか,直腸癌に対する腹腔鏡下手術の有効性と安全性は確立していないとされている(表1)3)。

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