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CLINICAL CONFERENCE 症例から学ぶ上部消化器疾患

第29回 内視鏡所見の著しい改善を認めたportal hypertensive gastropathyの1例

西野謙春間賢川中美和石井克憲中村純末廣満彦谷川朋弘浦田矩代笹井貴子河本博文

THE GI FOREFRONT Vol.15 No.1, 13-16, 2019

Portal hypertensive gastropathy(PHG)は,門脈圧亢進症による胃病変で,粘膜のうっ血により内視鏡的に広範な浮腫状や発赤所見を呈するもので,PHGに伴う胃粘膜障害を病態からcongestive gastropathyとして提唱されている1)。典型的な内視鏡像としては,軽症のものはmosaic-patternあるいはsnake skinと表現され,重症になるとdiscrete red spotsやhemorrhagic gastritisと呼ばれている。また,胃小区と腺窩の拡張像が“いくら”に似ていることから,「いくら状胃炎」と表現されることもある2)
PHGの発生因子としては,門脈圧の亢進,肝硬変や食道静脈瘤の有無などが知られている。一方,transjugular intrahepatic portosystemic shunt,摘脾術,β-adrenergic receptor antagonistsの投与などはPHGに対し治療効果があるとされ,ヘリコバクター・ピロリ(以下ピロリ)感染やプロトンポンプ阻害薬(proton pump inhibitor:PPI)の投与は,PHGの発症に関与しないとされている3)
門脈圧亢進をきたす肝硬変の頻度が著しく低下しており,その結果,日常臨床で典型的なPHG症例を経験する機会も低下している。今回,長期の経過でPHGの所見が著しく改善した症例を経験したので,内視鏡像の経過を提示するとともに,若干の考察を加え報告する。

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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