CLINICAL CONFERENCE 症例から学ぶ上部消化器疾患
第18回 下血を機に診断された腎細胞癌の同時性胃転移の1例
THE GI FOREFRONT Vol.9 No.2, 7-10, 2014
転移性胃癌は, 乳癌の転移で代表されるように, "Bull's eye" signと呼ばれる特徴的なX線所見を呈するので文献的にはよく知られているが, 稀な疾患で, 臨床で遭遇することは少ない. 転移性胃癌の多くは原発巣が進行し, 多臓器へ転移したうちの一臓器病変として診断されることが多く, 胃の転移巣を機に腎の原発巣が同時に発見された症例は極めて少ない. 今回, 下血を主訴に上部消化管内視鏡検査を施行し, 肉眼形態が通常の隆起型胃癌と異なった形態であったため, 悪性リンパ腫や転移性胃癌を疑い腹部超音波検査を施行し, 腎癌の胃転移と同時に診断出来た症例を経験したので提示する. 「症例」70歳代, 男性 主訴: 吐血 現病歴: 糖尿病, 脳梗塞, 高血圧症にて近医に通院中であった. 201X年2月中旬から全身倦怠感と黒色便を認め, 近医の内視鏡検査で胃体部に出血性の腫瘤病変を認めたため紹介受診となった.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。