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MESSAGE FROM EDITOR エディターズ・メッセージ(THE GI FOREFRONT)

第16回 優れた臨床研究は未来を見通すことができる!

浅香正博

THE GI FOREFRONT Vol.8 No.2, 96-97, 2012

わが国の基礎研究のレベルは高く, 2008年から2011年にかけて, Nature Medicine, Cell, J Exp Medの基礎研究の超一流誌に米国, ドイツ, 英国に次いで4番目に多く掲載されている. 然るに, N Engl J Med, Lancet, JAMAの臨床研究系の超一流誌には掲載順位が24位とふるわず中国, インドにも及んでいない. このようにわが国は基礎研究が一流なのに臨床研究は三流と研究に大きな解離が生じている. このことはこれまでわが国の研究が明治以降ドイツ医学の影響のもとに発展してきたことと関わりがあると思われる. ドイツ医学の本質は実験医学であって実験研究に基づく病態の解明を意図しており, 今日行われている基礎研究と理念や方法論は一致する. 明治政府は, 当初わが国へ実証医学であるイギリス医学の導入を考えたが, 最終的にはドイツ医学の採用を決定した. そのため, 多くの医学研究者はドイツに留学し, 医学研究といえば基礎研究であり実験医学であるわが国の研究基盤が形成されたのである.

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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