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特集 腎臓と老化

老化細胞除去による腎老化治療

荒谷紗絵中西真

アンチ・エイジング医学 Vol.17 No.4, 6-11, 2021

「加齢」とは,内的・外的ストレスに対して恒常性を維持する適応力がなくなり,機能的余力の低下から病気や死へのリスクが加速していく現象である1)
個体レベルの加齢(aging)のメカニズムとして,細胞レベルの老化(senescence)が関与することが明らかとなりつつある。細胞老化とは,さまざまな内的・外的ストレスによって誘導される細胞の不可逆的な増殖停止であり,細胞老化を起こした細胞(老化細胞)が加齢とともに体内に蓄積することが示されている2)。これらの老化細胞は単に体内に蓄積するだけではなく,サイトカインやケモカインなどのさまざまな炎症性タンパク質を分泌することが報告されている。この現象は,senescence-associated secretory phenotype(SASP)と呼ばれ,周辺組織に慢性炎症を引き起こし,臓器障害に寄与すると考える(図1)2)。本稿では,腎臓における加齢,抗老化治療で腎不全を克服できるのかなどを概説する。
「KEY WORDS」細胞老化,加齢,慢性腎不全,セノリティクス,抗老化治療薬

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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