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特集 老化と炎症

老化と線維化

好川貴久佐藤有紀柳田素子

アンチ・エイジング医学 Vol.15 No.3, 52-57, 2019

線維化は,多くの加齢性疾患や慢性炎症性疾患における共通の病理組織学的特徴である。高齢者の重大な死因である末期の肝不全や腎不全,肺線維症や心不全などの臓器障害においても線維化が認められる。しかし,臓器の線維化の機序・意義には不明な点も多い。近年,加齢個体における線維化の原因として,細胞老化(cellular senescence)の蓄積と加齢に伴う自然免疫の活性化による慢性的な全身性炎症(inflammaging)が重要な役割を果たしていると考えられており1)2),線維化に対する治療ターゲットとして注目される。その他,加齢に伴う腸内細菌叢の変化もこのinflammagingを促進する原因と考えられている。本稿では,炎症と線維化の関連,そしてinflammagingについて紹介した後,加齢個体の腎臓にみられる慢性炎症性病変として,我々が注目している三次リンパ組織(tertiary lymphoid tissue:TLT)の線維化への関与について述べたい。
「KEY WORDS」線維化,inflammaging,細胞老化,自然免疫,三次リンパ組織

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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