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特集 腸とアンチエイジング

老化と腸内代謝産物

松本光晴

アンチ・エイジング医学 Vol.14 No.1, 22-29, 2018

腸管腔内に存在する腸内細菌由来の低分子代謝産物は,吸収されて血液に移行し,全身の細胞に対して直接的な刺激を与える可能性が高く,宿主の健康状態への影響は大きいと考えられる。当然,老化/抗老化と腸内細菌の関係性を論じる場合も,代謝産物の存在は無視できない。
老化という現象は,極めて複雑な要因が合わさった最終的な表現型であり,個体レベル,疾病レベル,臓器レベル,組織レベル,細胞レベル,分子レベル,さらには免疫系のようにシステムレベルでの要因が存在し,腸内環境からアプローチする場合においても,ターゲットを定めることさえ容易ではない。筆者らは,自然加齢型(遺伝子操作なし)の哺乳類(現時点ではマウス)の個体レベルでの寿命伸長という,あえて究極的な表現型をターゲットとし,腸内細菌の代謝産物を軸としたアプローチを約15年前から進めてきた。対象とした表現型が壮大なため,その分子メカニズムには未解明の箇所が多々存在するが,大腸内で腸内細菌由来のポリアミン濃度を高めることで,マウスの寿命伸長効果が得られることが複数回の実験で明らかになった。
本稿では,この一連の研究から明らかにされてきた,腸内細菌の代謝産物の基礎的知見と,マウス寿命伸長効果が得られた腸内細菌由来ポリアミンに関して解説する。
「KEY WORDS」代謝産物,腸内細菌,ポリアミン,寿命,学習記憶

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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