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アレルギーをめぐるトレンド

アトピー性皮膚炎における黄色ブドウ球菌の病原性

The role of S. aureus in atopic dermatitis

松岡悠美

皮膚アレルギーフロンティア Vol.13 No.1, 48-49, 2015

アトピー性皮膚炎(atopic dermatitis;AD)の患者皮膚では,健常人ではみられない黄色ブドウ球菌の生着が認められることが古くから知られていた.われわれは,黄色ブドウ球菌の細胞外分泌毒素δ-toxinがマスト細胞の脱顆粒反応を介し,ADの病因となることを見出した.
「はじめに」アトピー性皮膚炎(atopic dermatitis;AD)は乳児期に発症する“強いかゆみ”と“慢性湿疹”を特徴とするTh2型の皮膚炎である.発症がとくに先進国で高い頻度にあるなど,バリア機能やアレルギーにかかわる遺伝的素因以外に,環境因子が発症に深く関与している疾患である.ADでは通常健常者皮膚には検出されない,黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus;S. aureus)の病変部での定着が認められることは実は古くから知られているが1),その病原性については明らかとなっていなかった.われわれはADの発症に関与するS. aureus由来物質を新規に同定し,ADの病原因子としてのブドウ球菌の役割を明らかにした.

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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