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Orthopractice―私の治療法 人工肘関節の現状と問題点

DEBATE 3 Kudo TEA (Kudo Total Elbow Arthroplasty)

稲垣克記

Arthritis―運動器疾患と炎症― Vol.9 No.3, 28-32, 2011

 Kudo TEAは比較的強い回旋拘束性を呈し,正常肘関節に近い特性を有すると同時に,左右への自由度により軸圧を軟部に分散することができる人工関節である.わが国ではCoonrad/Morreyと同様,20年という安定した長期成績が得られている.正しく手術手技を行うことにより,術後の脱臼や奇異運動(Eccentric motion),そしてその結果としての弛みとポリエチレンのwearを予防することが可能となる.

緒 言

 人工肘関節置換術(TEA)は基礎疾患やインプラントデザイン,骨質,インプラント設置法,靱帯バランス,セメント使用の有無により治療戦略が異なる.近年,TEAの研究は進み,linked type(連結型)unlinked type(非連結型)に分類されるが,表面置換型はunlinked typeと同義である.表面置換型の代表であるKudo type(図1)はステムのなかったtype-1,2 を改良しステムつきのtype-3(ステンレススティール製),type-4(チタン製),type-5(コバルトクロム素材)とデザインの改良があった.

現在はK-Elbowとして英国と日本を中心に欧州アジアで広く使用されている1)-4)(図1).回旋に対する拘束性の高さと内外側への自由度というデザインコンセプトを有する点でlinked typeの代表であるCoonrad/Morreyに類似している.現在,この2機種は20年という長期成績に耐用し,世界で最も信頼され広く使用されているデザインである.本稿ではK-Elbowの特徴,手術適応および手術のタイミング,手術手技とその成績につき述べる.

1 Kudo TEAの適応

 TEAの最も適応となる疾患は関節リウマチ(rheumatoid arthritis;RA)である.変形性肘関節症は壮年期の男性に多いので,TEA以外の治療法が理想である.RAでもまだ年齢が若く,Larsen gradeもⅠ,Ⅱと進行していない肘関節では,滑膜切除術が行われる.関節鏡視下滑膜切除,橈骨頭切除を併用し外側アプローチで行う従来法,橈骨頭を温存しCampbellのアプローチで行う滑膜切除など術式の選択は年齢やX線所見および臨床所見で決定する.一般にTEAの適応は65歳以降のRA患者で,X線上Larsen gradeⅢ以上であり,上腕骨顆部の高さが1/3以上欠損しているもの,痛みの強い不安定肘,肘拘縮を伴う関節破壊例,脱臼例,強直例である1)-4).すなわち関節破壊の強い例,肘関節拘縮または不安定性が著しく機能障害が高度な例がTEAの適応となる5)-8).変形が高度でアライメントの不良なRA例や不安定性の強いムチランス例では,表面置換型の適応は少なくlinked typeの適応である.一方RA以外でもTEAは適応となることがある.外傷後の強い不安定性を伴うアライメント不良例に対し,救済手術としてTEAが行われることがあるが,表面置換型は術後脱臼または不安定性に十分注意する必要がある.外傷後の高度骨欠損例,不安定肘やRAでも伸展位での高度拘縮例にはlinked typeが選択されるべきである.

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