特集 CKD関連ガイドラインをめぐる話題
IgA腎症
Nephrology Frontier Vol.11 No.3, 46-51, 2012
「SUMMARY」近年, 我が国におけるエビデンスに基づいたIgA腎症診療指針の必要性が叫ばれてきた. そこで, 厚生労働省進行性腎障害に関する調査研究班は, 多施設共同研究によって集積されたデータを解析し, 昨年3月の日腎会誌において「IgA腎症診療指針」(第3版)を提示した. 本診療指針では, 組織学的重症度に臨床的重症度を加味した新たな予後分類(透析導入リスクの層別化)を提唱していることが特徴である. この新たな予後分類を, 病理診断, 治療方針の決定など日常診療に役立てて頂ければ幸いである. 「I はじめに」IgA腎症は, 我が国を含め世界で最も頻度の高い原発性糸球体腎炎である. 1968年のBergerによる最初の報告から40年以上が経過したが, いまだ真の発症機序は不明なため, 病因に基づく根治的な治療法は開発されていない. 我が国において, IgA腎症はCKDの代表的疾患である慢性糸球体腎炎の30~40%を占め, また腎生検による診断後20年以上の経過観察で30~40%が末期腎不全へと進行することから, その進展阻止に有効な治療法の確立が望まれている.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。