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Review(再生医療)

表皮幹細胞がニッチとして機能する

藤原裕展

再生医療 Vol.19 No.1, 13-27, 2020

これまで長きに渡り,哺乳類表皮の恒常性は分裂頻度が低く長期間維持される幹細胞と,その非対称分裂により生み出される,分裂頻度が高く短命のtransit-amplifying(TA)細胞によって維持されていると考えられてきた。しかし近年,表皮内で複数の新しい幹細胞コンパートメントが次々と同定されている。これら幹細胞集団は,異なる遺伝子発現プロファイル,増殖モード,組織内配置を示す。また,これら幹細胞の間には,能力の明確な階層性がみられないことが多く,むしろ個別の表皮幹細胞がそれぞれのコンパートメントを自律的に維持していることがわかってきた。この幹細胞のヘテロジェネイティと区画化の意義については,これまで表皮恒常性のコンテキストのなかでしか議論されてこなかった。しかし,最近の研究により,これらの表皮幹細胞が真皮隣接細胞のニッチとして機能し,時空間的にパターン化された「表皮-真皮機能ユニット」を形成することで,臓器全体の構造と機能のインテグリティの維持に寄与することが明らかとなってきた。これらの知見は,表皮幹細胞のヘテロジェネイティーと区画化の重要性についての新しい視点をもたらしている。
「KEY WORDS」表皮幹細胞,幹細胞ヘテロジェネイティ,表皮-真皮相互作用,ニッチ,機能ユニット

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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