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Review(再生医療)

TGF-βファミリーによる血管・リンパ管新生制御

宮園浩平渡部徹郎

再生医療 Vol.12 No.3, 15-26, 2013

「はじめ」 TGF-βファミリーの因子は多彩な作用を有することから様々な生理的過程だけでなく, 種々の疾患の病因と密接に関与している. TGF-βは多くの細胞の増殖を抑制する他, 組織の線維化を促進し, 上皮細胞を間葉系細胞に転換させる(上皮間葉転換, epithelial-mesenchymal transition;EMT)を起こす1). BMP(骨形成因子)は骨や軟骨の形成を促進することで発見された因子であるが, BMPは無脊椎動物にも存在し, 神経や血管, 腎臓の形成などに重要な働きを示す2). 近年ではiPS細胞の作製においてもTGF-βファミリーの因子が重要な役割を果たしていることが報告され, 幹細胞の分化にも重要な役割を果たすことが明らかとなってきた3). TGF-βファミリーの因子の多彩な作用の中でも特に血管・リンパ管新生における役割の研究については近年目覚ましい進展が見られている. 本稿ではTGF-βファミリーの因子の血管・リンパ管新生における役割について, 我々の研究成果を中心に紹介する.

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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