癌治療への再生医療の応用
癌幹細胞研究の現状と癌治療への応用
再生医療 Vol.6 No.3, 67-72, 2007
「はじめに」 幹細胞とは, 自己複製能と分化能を兼ね備えた未分化な細胞である. 当該幹細胞がいろいろな細胞系列へと運命付けられ, 成熟して最終的に機能する組織分化細胞への運命をたどる. 血液細胞, 皮膚細胞, 消化管粘膜上皮細胞などの寿命の短い細胞が一生の間枯渇しないでいられるのは, それらの幹細胞が絶えず新しい娘細胞を産生しているからである. 近年, 神経や骨格筋など, 従来は再生しないと考えられていた組織にも幹細胞が存在することが明らかになってきた. 人体は, このような多くの幹細胞システムによって構成されているといえる. 再生医学では, こうした幹細胞がもつ潜在的な増殖能を活かして, 体内ないしは体外で増幅し, 細胞治療に利用することが研究されている. 一方, 再生医学で癌が取り上げられるようになった背景には, 癌組織にも正常組織で観察される細胞の階層性があること, すなわち, 癌幹細胞が存在することがわかってきたからである.
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※記事の内容は雑誌掲載時のものです。