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巻頭言

ユニバーサル・インフルエンザワクチン

河岡義裕

インフルエンザ Vol.20 No.2, 5-6, 2019

インフルエンザを研究している人で,ユニバーサル・インフルエンザワクチンという言葉を聞いたことがない人はほとんどいないと思う.ところが,この言葉をPubMedで調べると,2009年以前はほとんど使われていない.この言葉が頻繁に使われるようになったのは,米国国立衛生研究所・アレルギー感染症研究所(NIH NIAID)の所長であるアンソニー・ファウチ博士が2010年にユニバーサル・インフルエンザワクチンを5年以内に作ると宣言したのが始まりである.果たして,ユニバーサル・インフルエンザワクチンは可能なのか.
本当の意味でのユニバーサル・インフルエンザワクチンは,あらゆるインフルエンザウイルスに効果のあるワクチンである.そもそも,ワクチンというのは,感染防御にかかわる免疫反応(液性あるいは細胞性免疫あるいはその両方)を誘導する抗原を生体に接種することにより感染防御を誘導するものである.ところが,インフルエンザウイルスの分類(A型,B型やH1N1やH3N2ウイルスなど)は,主要ウイルス蛋白質の抗原性の違いにより分類されている.したがって,それぞれのインフルエンザウイルスの主要蛋白質の抗原性は異なっており,その抗原性の異なるウイルスが引き起こす病気に対して1種類のワクチンで感染防御を目指すという,一見矛盾したことを目指すのがユニバーサルワクチンである.

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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