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基礎(インフルエンザ)

インフルエンザにおけるARDSの病理像

中島典子

インフルエンザ Vol.14 No.3, 41-46, 2013

H5N1ヒト感染による死亡例の多くは重症のARDSを併発し亡くなっている. パンデミック発生初期のA(H1N1)pdm09感染例でも重症のARDSを併発した例がみられた. 剖検肺組織は滲出期あるいは増殖期のびまん性肺胞障害を呈し, 好中球および単球の浸潤が顕著であった. H5N1と一部のA(H1N1)pdm09は肺胞上皮細胞に感染し, 直接的に肺胞上皮細胞を傷害することがわかった. 肺局所でのサイトカイン・ケモカインの発現はH5N1量と相関し, インフルエンザウイルス感染により惹起された局所の過剰な免疫応答が示唆された. ウイルス感染による上皮障害と過剰な免疫応答による内皮障害により肺胞毛細血管関門が急激に破綻し, P/F比が100mmHg以下の重症のARDSを併発するのではないかと考えられた. 「はじめに」 1997年にH5N1亜型高病原性鳥インフルエンザウイルス(以下H5N1)の鳥からヒトへの感染例が報告された.

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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