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New Information of Glaucoma

抗緑内障治療薬の新規処方の変遷

柏木賢治

Frontiers in Glaucoma No.41, 52-56, 2011

はじめに
 緑内障治療は薬物,レーザー,手術の3つよりなるが,緑内障治療ガイドラインでは緑内障治療の主体は薬物治療,特に点眼薬である1).

昨今は新規抗緑内障治療薬が次々と上市されており,特に21世紀に入ってその数は急速に増加している.さらに2010年からは配合薬の臨床利用が本格開始されており,より緑内障治療の多様化が進んでいる.抗緑内障治療薬の選択肢の増加は緑内障を治療する眼科医にとって望ましいことであるが,治療薬の処方トレンドについて理解しておくことは緑内障治療の一般化,標準化を考える上で重要である.この点から,緑内障患者への新規処方薬が最近どのように変遷してきているかを検討2)したが,本稿ではその内容を報告するとともに考察を加えた.

対象と方法

 今回の検討対象は山梨大学医学部附属病院緑内障外来通院中ならびに,慢性疾患診療支援システムを利用中の緑内障患者とした.慢性疾患診療支援システムは情報通信技術(ICT)を活用して診療データを管理し,医師,患者に対し緑内障を含む慢性疾患の診療を支援するシステムである3).検討データは2000年から2008年までの登録データとした.なお処方期間1ヵ月未満のデータは一過性の眼圧上昇に対する短期的処方と考え除外対象とした.
 検討項目は,新規抗緑内障治療薬の新規処方総数,薬理作用別処方内容の変遷,新規処方からの点眼継続期間,同一系統薬内における選択肢の変遷,検討期間中の眼圧値の変遷,などである.また,日本人に多い正常眼圧緑内障に絞って処方内容の変遷を検討した.

結 果

検討対象

 検討の対象は1,955名(男性950名,女性1,005名,平均年齢66.0±16.5歳)である.対象病型は検討期間中に大きな変動はなく,狭義原発開放隅角緑内障(POAG)が最も多く全体の約半数を占め,次いで正常眼圧緑内障(NTG)が多く全体の4分の1程度を占めた.残りは続発緑内障や他の病型であった.検討期間中の新規抗緑内障治療点眼薬の延べ総数は7,831種類であった.

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