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誌上ディベート

これからの胃癌検診について 胃癌リスクを設定するABC分類

井上和彦

Frontiers in Gastroenterology Vol.19 No.3, 25-29, 2014

[はじめに] 病気はすべての人に同じ確率で発生するわけではない. 必ず背景が存在し, リスクの高い人と低い人がいる. そのリスクが明確になっている場合には診療のみならず検診にも活用すべきであろう. 胃癌発生にはヘリコバクター・ピロリ(HP)感染とそれに伴う胃粘膜萎縮, 胃粘膜炎症が強く関与していることは周知されており, 検診への応用を考えることは当然であろう. [HP感染と胃癌発生] HPの慢性感染の成立は幼小児期であり, 成人での新たな慢性感染はまれである. HP感染により胃粘膜には好中球浸潤・リンパ球浸潤・上皮の乱れなどの組織学的胃炎が生じ, 個人差はあるが胃粘膜萎縮が出現し進展する. 高度胃粘膜炎症は未分化型胃癌の発生リスクが高く, 進展した胃粘膜萎縮は分化型胃癌の発生母地となる. Uemuraら1)はHP感染診断を厳密に行った病院受診患者を対象としたcohort studyを行い, HP未感染者から発生した胃癌は1例もなかったが, HP感染者からは0.4-0.5%/年の頻度で胃癌が発生したと報告している.

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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