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食道癌対策最前線

第12回(最終回) 食道癌内視鏡外科手術の最前線 内視鏡外科手術の利点・欠点,最新の進歩,内視鏡外科手術は開胸手術を超えたか

大杉治司

Frontiers in Gastroenterology Vol.19 No.1, 38-44, 2014

「はじめに」 食道癌手術における胸腔鏡手術の導入は1992年のCushieriの報告に始まる. 本邦では赤石らが遅れること3年, 1995年に報告している. 欧米と異なり本邦ではそれまでに開胸手術における系統的縦隔リンパ節郭清が確立されており, この要求に耐える郭清を行うことに3年を要したと考えられる. われわれも1995年に胸腔鏡手術を開始した. 当初は熟練の諸先輩から郭清の不確実さを指摘された. われわれは先達もなく, 器具の工夫から開始したので, 手技に一応の習熟を得るのに36例を要した. その後, 光学機器の進歩, エネルギーデバイスの改善により, 次第に普及し, 現在では胸部食道癌根治術の約30%が胸腔鏡で行われており, 日本内視鏡外科学会では2004年より技術認定が開始され, 技術の基準化が進んでいる. 本稿ではこの背景のもとに胸腔鏡食道癌手術状況を開胸手術と比較して述べる. 「胸腔鏡手術の欠点と利点」 胸腔鏡手術の欠点は術者の手が入らないことに尽きる.

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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