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DIC―新しい診断基準とトピックス―

Ⅱ.DICの治療とそのトピックス プロテインC

古賀震内山俊正

Surgery Frontier Vol.14 No.3, 45-50, 2007

プロテインC(PC)は, ビタミンK依存性血漿因子であり, 分子量約62, 000の一本鎖糖蛋白質でもある. 主に肝臓で合成されるが, 時に血管内皮細胞でも合成される. プロテインCはトロンビン(Th)と血管内皮細胞膜上に存在するトロンボモジュリン(TM)とが結合した複合体(Th-TM complex)によって活性化プロテインC(APC)に変換される. 活性化プロテインCは生体内に存在する生理的なプロテアーゼインヒビターの中でアンチトロンビン(AT)とともに代表的かつ重要な抗凝固因子である. われわれはよくこの重要な2種類の抗凝固因子を自動車のブレーキに例えることがある. アンチトロンビンをフットブレーキ, 活性化プロテインCをエンジンブレーキに各々例えるが, その言葉通り, 活性化プロテインCは凝固のカスケード反応においてアンチトロンビンより上位に存在するVa, VIIIaを不活化することで効率的に凝固にプレーキをかける1)ことから, その名にふさわしいと考えられる. 活性化プロテインCは抗凝固能のみならず, 血小板や血管内皮細胞から分泌されるPAI-1を中和することで, 線溶を亢進させる作用も有している. これらの作用機序からも活性化プロテインCは敗血症(重症感染症)等が原因で発症する凝固優位型(線溶抑制型)DICの治療に適していると考えられる1)2). さらに, 活性化プロテインCは単球, マクロファージに作用して, TNF-α, IL-1βなどの重要な炎症性サイトカインの産生を抑制し, また血管内皮細胞のE-セレクチン発現を減少させ, その結果, 好中球の活性化や血管内皮細胞への接着を抑制し, 抗炎症作用も発揮する1)4)5). このように多くの作用を有する活性化プロテインCは海外において重症敗血症の治療薬として認可されているが2), 一方, 残念なことに, わが国での適応疾患は先天性プロテインC欠損症に伴う血栓症のみである. 今後, 敗血症やDICなどの症例に適応拡大されることが強く期待される.

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