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特集 アンチテーゼとしての難治性呼吸器疾患の個別化医療

粘性環境下における病原体のアルコール消毒薬耐性獲得

廣瀬亮平伊藤義人中屋隆明

THE LUNG perspectives Vol.26 No.2, 62-66, 2018

現在,医療現場において院内感染対策としてアルコール系消毒液を用いた手指衛生が広く行われているが,院内感染はいまだ解決されていない重要な問題である。筆者らは,喀痰や鼻汁といった粘性を帯びた体液(粘液)に含まれる病原体が,従来のアルコール系消毒液で完全に殺菌・不活化されずに生存し,消毒薬に耐性を示すことを明らかにした。
これらの知見は,現在の手指衛生・消毒薬の弱点を明らかにし,より有効な手指衛生の確立に寄与するものである。より有効な手指衛生が開発されれば院内感染の発生率低下が期待され,医療施設が現在抱える院内感染の問題解決に大きく貢献できるものと考える。
「KEY WORDS」院内感染,手指衛生,粘弾性,レオロジー,粘液

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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