<< 検索結果に戻る

新しい癌免疫療法―PD-1発見の経緯と研究の歴史―

THE LUNG perspectives Vol.23 No.4, 93-97, 2015

「はじめに」1982年初夏,名古屋大学医学部の1年生だった私は,大学祭企画「臓器移植の現状」の取りまとめを任され,臓器移植が抱える諸問題点について学習した。その過程で私は,臓器移植を阻む最大の障壁は,免疫細胞によって引き起こされる移植片への拒絶反応であるという事実を思い知らされた。以後私は,免疫細胞による「自己」と「非自己」の識別機構に魅了され,愛知県がんセンター研究所[高橋利忠先生と上田龍三先生(現,愛知医科大学)の研究室]において基礎免疫学の実験に没頭した。大学生時代のこの経験が,約10年の時を経て私をprogrammed death-1(PD-1)の発見へと導いた。
「TCR遺伝子発見の衝撃」1984年3月,M. M. Davisのグループ(スタンフォード大学)とT. W. Mak(トロント大学)のグループが『Nature』誌に3本のArticle論文を発表し,T細胞抗原受容体(TCR)遺伝子の単離を報告した1)-3)。長い間謎に包まれていたTCRの実体は,彼らによって,あっという間に解明されてしまった。

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

掲載雑誌詳細 この雑誌の目次を見る

抄録