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CPC日常臨床から学ぶ

肺腺癌に伴うTrousseau症候群により多臓器に血栓塞栓症をきたした1例

森雄亮津端由佳里中尾美香天野芳宏木庭尚哉堀田尚誠濱口愛沖本民生星野鉄兵濱口俊一須谷顕尚粟屋幸一竹山博泰丸山理留敬礒部威

THE LUNG perspectives Vol.23 No.3, 2-7, 2015

「はじめに」悪性腫瘍に合併した血栓塞栓症はTrousseau症候群として知られており1),多発脳梗塞のほか,深部静脈血栓症,腎梗塞,非感染性血栓性心内膜炎などとして認められる2)。悪性腫瘍の原発巣としては肺癌が約30%と最も多く,病理組織学的には腺癌,特にムチン産生腺癌が多いと報告3)されているが,年齢・合併症・肥満の有無・悪性腫瘍の病期およびperformance status(PS)などの患者背景因子もリスクファクターとして影響を与える4)ことが知られている。今回,肺腺癌の治療経過中に,多発脳梗塞・下肢静脈血栓症に続いて心筋梗塞を発症した1例について報告する。
「1.症例」
症例:76歳,男性
主訴:特になし
既往歴:閉塞性動脈硬化症,糖尿病
家族歴:特記すべきことはなし
生活歴:飲酒歴:機会飲酒,喫煙歴:20本/日,56年間(75歳から禁煙)
職業歴:事務職
現病歴:201X年11月,肺腺癌に対して左肺下葉切除術および縦隔リンパ節郭清を実施,術後の病理診断で病期ⅢA(pT3N1M0)と診断した。その後,術後補助化学療法は実施せず,外来で経過観察を行っていた。翌年4月,左胸水の増加を認め,胸水細胞診で腺癌細胞を認めたことから肺癌術後再発と診断した。同月,化学療法の導入を目的に入院した。
「Key words」Trousseau症候群,肺腺癌,心筋梗塞

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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