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特集 女性骨盤底医学up to date

特集に寄せて

西沢理

排尿障害プラクティス Vol.21 No.2, 5, 2013

女性の骨盤臓器下垂は膀胱瘤, 子宮脱, 腟断端脱, 直腸瘤などの形で現れるとともに, 排尿困難, 尿失禁などの下部尿路症状を併発することもある. 本邦ではメッシュ手術, 腟前後壁縫縮術, 子宮摘除術などが行われている. なかでも, メッシュ手術は2010年に新たに膀胱瘤に対する膀胱脱手術として保険点数が認められるに至り, 実施する施設が増加している. その治療成績は海外と比較して格段に優れており, 合併症の頻度も少ない. 一方, メッシュ手術には海外において重篤な合併症(膀胱や直腸へのメッシュの露出など)の報告があり, 2011年にはFDAよりメッシュ手術に関する警告が出されている状況のもとに, 米国ジョンソン・エンド・ジョンソン社は2012年にProlift(R)の販売を中止するに至っている. 本誌の特集では第53号(2006年9月)で「女性骨盤底医学の最前線」と題して取り上げたが, すでに7年を経過している. さまざまな動的な変化が起こっている本分野の現状を踏まえて本号では「女性骨盤底医学up to date」と題して, 女性骨盤臓器下垂に焦点を当てて, この分野のエキスパートである各先生に執筆をお願いした. 診断の項目では最近の進歩がふんだんにちりばめられており, 読者の日常診療に役立つものと思われる. 台上診やPOP-Qシステムの実際, UDSの意義やPOP整復下での評価を組み合わせることによるde novo SUIの予測, メッシュの可視化を含めた超音波診断の有用性などが明らかにされており, 診断法について今後の発展が大いに期待できると感じられた. 治療の項目ではメッシュ手術はもとより, 今後の展望にも言及していただいた. 執筆者の先生方に深謝するとともに, 女性骨盤底医学のさらなる普及と発展を願うものである. 最後に, 本特集により本疾患に対する理解がアップデートされることを確信している.

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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