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BPHの自然史を踏まえた治療ストラテジー

LUTS, BPH の自然史と治療への示唆

福多史昌舛森直哉塚本泰司

排尿障害プラクティス Vol.19 No.4, 13-20, 2011

 近年,5αリダクターゼ阻害薬を用いたランダム化比較試験の結果が報告され,前立腺体積は前立腺肥大症における下部尿路症状の進行と関連することが明らかになってきた.したがって,将来大きくなる前立腺を予測することが可能となれば治療を考えるうえでも有用と考えられる.その一方で,前立腺体積を含めた前立腺肥大症の自然史に関する疫学データは,わが国はもとより世界的にも限られている.本稿では,日本人における前立腺体積および下部尿路症状の自然史について述べ,治療への示唆について述べる.

Key Words
Community-based study,自然史,前立腺体積,下部尿路症状,国際前立腺症状スコア

はじめに

 近年,Medical Therapy of Prostatic Symptoms(MTOPS)試験1, 2)やCombination of Avodart Tamsulosin(CombAT)試験3, 4)などの5αリダクターゼ阻害薬(5αRI)を用いたランダム化比較試験結果が報告され,前立腺体積(PV)は前立腺肥大症(BPH)における下部尿路症状(LUTS)の進行と関連することが明らかになってきた.また,2011年にわが国において『前立腺肥大症診療ガイドライン』5)が発刊され,その中で30mlを超えるPVを有する症例に対する治療として5αRIの投与は推奨グレードAの評価を受けている.しかし30mlを超えるPVを有する症例全例に5αRIを投与する必要があるだろうか? PVの増大がBPHに伴うLUTSの進行と関連することから,将来的にPVが大きくなる症例にのみ5αRIを投与すれば医療費の面からも効率的と考えられる.これらのことを理解するためには,PVの自然史の解明が欠かせない.地域住民を対象としたcommunity-based studyから得られる信頼性の高い疫学データにより自然史の解明が可能となるが,BPHに関するcommunity-based studyのうち,PVを含めた縦断研究結果が報告されているものは,米国におけるOlmsted county6-14),オランダにおけるKrimpen15-17),そしてわが国における島牧村の研究7, 8, 18-22)と数が限られている.
 本稿では,各国で行われたcommunity-based studyから得られた結果を示し,日本人との違いについて解説する.また,それらの結果から導かれる,治療への示唆について述べる.

I 前立腺体積の自然史と将来の前立腺体積の増大を予測する因子

1 前立腺体積に関する横断研究の比較

 表1に3カ国で実施されたcommunity-based studyの結果を示す.

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