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排尿障害の私の治療2―OAB・間質性膀胱炎―

過活動膀胱の治療経験

福多史昌高柳明夫舛森直哉

排尿障害プラクティス Vol.19 No.3, 19-24, 2011

 過活動膀胱症例に対する治療は,抗コリン薬による薬物療法が中心となる.近年,複数の抗コリン薬が使用可能となり,薬物療法の選択肢が増える一方で,実際にどの抗コリン薬を選択すべきかを迷う場面も少なくない.今回,外来診療で実際に治療を行った症例の中から奏効例,難治例など6症例を紹介し,治療のポイントについて解説を加えた.

Key Words
過活動膀胱,尿意切迫感,切迫性尿失禁,頻尿,抗コリン薬

はじめに

 2002年に国際禁制学会(ICS)用語基準1)で過活動膀胱(OAB)が定義されてから,およそ9年が経つ.症状症候群ということから,特別な尿流動態検査を行うことなしに,患者の症状の訴えと最低限の除外診断でOABを診断できるようになった.これまで諸検査を行ったうえで診断を行ってきた泌尿器科専門医としては,「本当にこれで大丈夫なのか」という不安もあったが,われわれの診療指針にそれほど大きな変化はなかった.その一方で,OABの定義の設定後,新たな抗コリン薬が使用可能となり,その使い分けなどに戸惑いを感じることは少なくない.
 今回,実診療で得たOAB治療の経験をもとに,奏効例,難治例について症例を紹介し解説する.

Ⅰ 抗コリン薬が投与されていた症例の全体像

 抗コリン薬による薬物療法がOAB治療の主になることに異論はないと思われる.まず初めに,抗コリン薬が投与された症例の全体像を把握する目的で,札幌医科大学泌尿器科で2011年4月の1カ月間に抗コリン薬(オキシブチニン,プロピベリン,トルテロジン,ソリフェナシンおよびイミダフェナシン)が投与された症例の内訳と背景を示す.
 調査期間中に114例に対し抗コリン薬が投与されていた.このうち,活動性の前立腺癌や膀胱癌を有する症例,骨盤内手術後の低コンプライアンス膀胱や膀胱瘻留置例の刺激症状に対して投与されていた41例は対象より除外した.残りの73例は,尿意切迫感,切迫性尿失禁,頻尿および夜間頻尿の主訴に対し抗コリン薬が投与されており,これらを対象とした.
 対象者の年齢の中央値は73歳(24-90)であり,男性38例,女性35例であった(表1).

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