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尿路機能の再生医療の現状

acellular matrix graftを用いた膀胱再生と臨床応用の可能性

椎名浩昭安本博晃井川幹夫Leopold Ribeiro-FilhoRajvir DahiyaEmil A. Tanagho

排尿障害プラクティス Vol.18 No.4, 45-53, 2010

組織工学の基本は, 生体に移植されたscaffoldが経時的に吸収され, 細胞から分泌されたextracellular matrix(ECM)で置換されることであり, 再生医学では生体吸収性の高いscaffoldが必要となる. 生体適合性がよいことがscaffoldの必要条件であるが, 処理が容易で取り扱いやすく, 品質面での再現性が優れていることも重要である. Collagenを基本骨格とするacellular matrix graft(AMG)はこれらscaffoldが満たすべき基本条件を備えており, 尿路再建の臨床応用において最も有望なscaffoldのひとつと考えられる. 正常ラットに膀胱部分切除を行い, 同種由来のbladder AMG(BAMG)をscaffoldとして移植すると正常な膀胱組織が再生する. 宿主がSTZ誘発糖尿病ラット, HCl誘発chemical cystitisラットあるいは脊髄損傷に伴う神経因性膀胱ラットでも膀胱再生過程に時間的な差があるものの, 神経組織を含めて膀胱組織が再生する. 一方, 脊髄損傷による神経因性膀胱ラットにvascular endothelial growth factor(VEGF)とnerve growth factor(NGF)の局所投与を行った後にBAMGを移植すると, VEGFのみの局所投与と比較して, より総括的な膀胱再生が促進される. ブタを用いた大動物の検討では, 50%膀胱部分切除後に宿主膀胱にBAMGを移植し, 同時にBAMGに尿管を移植すると, 宿主膀胱側のみならず移植尿管周囲のBAMGにも尿路上皮の被覆, 新生血管ならびに筋線維が認められ, BAMGに尿管移植を同時に行うことで, より広範囲な平滑筋組織の再生と血管新生が誘導される. Acellular matrixを用いた組織再生は膀胱のみならず, 尿道再生にも応用可能で, AMGは組織の再生に必要な“適切なscaffold”としての条件を満たし, またその作成に要する費用や労力はきわめて少ない. Acellular matrix graftを用いた尿路の再建は有望な治療手段として期待される.

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