尿路機能の再生医療の現状
腹圧性尿失禁に対する培養骨格筋細胞を用いた再生治療開発の現状と展望
排尿障害プラクティス Vol.18 No.4, 29-35, 2010
自己骨格筋細胞を用いた再生医療は, 腹圧性尿失禁に対して, 将来的に治療効果の期待できる新たな医療である. しかし, 臨床研究において, その有効性を確認するためには, 安全性の担保を目的とする厳しい条件を満たさねばならない. 私たちは, 国立長寿医療研究センターにおいて, 『腹圧性尿失禁に対する自己骨格筋細胞を用いた再生治療』の確立をめざして, 基礎と臨床を横断した研究プロジェクトを進めている. 本稿では, 骨格筋細胞を用いた再生治療関連研究の現状を紹介するとともに, 国立長寿医療研究センターにおける取り組みと, 培養細胞移植による再生治療の今後を展望する. 「はじめに」尿失禁は, 認知症や骨粗鬆症などとともに, 高齢者のQOLを著しく損なう原因となるうえに, 介護者の体力的・経済的負担が大きいため, 解決の望まれる課題である. 自己骨格筋幹細胞を用いた再生医療は, 腹圧性尿失禁に対して, 将来的に治療効果の期待できる新規医療である.
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※記事の内容は雑誌掲載時のものです。