<< 一覧に戻る

過活動膀胱の最前線

特集に寄せて

横山修

排尿障害プラクティス Vol.15 No.2, 7, 2007

「過活動膀胱(overactive bladder)」の定義が新しくなり, 侵襲的検査である尿流動態検査を行わなくても診断できるようになった. また日本排尿機能学会が中心となって「過活動膀胱診療ガイドライン」が作成されたこともあり, 今後益々積極的に過活動膀胱の診療がなされるものと予想される. ガイドラインによれば, その治療には行動療法, 薬物療法, Neuromodulationがあり, その有効性・安全性はRCTなどの科学的根拠に基づいて紹介されている. しかしながら実際の日常診療では, 抗コリン薬無効, 行動療法無効な症例はいくらでも存在し, 無効とわかっていても従来法を継続してしまうことも多い. 特に症状のみで診断できる過活動膀胱のプライマリーケアは一般医家で行われることが多くなり, 難治例が泌尿器科医に紹介されることが増えてきている. したがって泌尿器科専門医には新たな治療戦略が是非とも必要と考えられる. 今回の特集は2006年4月博多で行われた第94回日本泌尿器科学会総会のシンポジウム「過活動膀胱OAB―その新たな展開について―」(司会:鳥取大学・宮川征男先生, 福井大学・横山修)をもとに, 過活動膀胱の疫学, 病態, 治療について, これまでとは異なったアプローチで新局面を創っていただきたいという希望をもって企画させていただいた. 上田朋宏先生には独自に行った排尿障害の疫学調査の結果から, いかにその患者数が多いかご提示いただいた. 山西友典先生には診療ガイドラインを客観的にやや批判的に解説いただいた. 三輪吉司先生には, ガイドラインに掲載されていない病因論として, 加齢に伴う内分泌環境の変化がどのように過活動膀胱に繋がるかををお示しいただいた. 本田和也先生には末梢の平滑筋受容体の分子レベルでの変異が過活動膀胱の発生に関与しているデータを示していただいた. 今後の新しい展開に期待がかかる. 柚木貴和先生には新しい薬物治療として有望なATP感受性K+チャンネル開口薬の解説を, 渡邊健志先生には実際に臨床の場に登場しつつあるneurotoxinの最新のデータの解説をしていただいた. 三井貴彦先生には脊髄における神経再生を, 横山光彦先生には遺伝子治療の解説をいただいた. いずれも実験室レベルの知見であるが近い将来, 必ず臨床の場に登場してくると思われる. このように過活動膀胱を巡る研究は尽きることなく確実に進んでいる. 本企画を机上の空論で終わらせないためにもわれわれの積極的取り組みが必要と思われる.

記事本文はM-Review会員のみお読みいただけます。

メールアドレス

パスワード

M-Review会員にご登録いただくと、会員限定コンテンツの閲覧やメールマガジンなど様々な情報サービスをご利用いただけます。

新規会員登録

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

一覧に戻る