女性骨盤底医学の最前線
ウロギネコロジー分野におけるQOL評価
排尿障害プラクティス Vol.14 No.3, 52-58, 2006
ウロギネコロジー領域においては, 女性における尿失禁, 性器脱, 便失禁, 性機能障害などが主な対象疾患となるが, いずれもQOLを損なう疾患であり, 重症度評価, 治療法選択, 治療効果判定においては, QOLの評価が重要となる. 本稿では, ウロギネコロジー領域におけるQOL評価法(QOL質問票)について, 国際失禁会議の報告に基づいて概説する. 【はじめに】婦人泌尿器科(ウロギネコロジー)疾患の多くは, 直接生命に関わることは少ないが, 生活の質(Quality of Life;QOL)を損なうことが多く, 特に尿失禁はQOL疾患の代表的なものである. また, ウロギネコロジー領域における重要な疾患として性器脱(Pelvic organ prolapse;POP)があり, さらに近年では便失禁, 性機能障害も本領域で扱うべき疾患として注目されているが, いずれもQOLに大きく関わるものである. QOLの評価が, 実際の診療における臨床的decision-makingに関与するかどうかについては議論のあるところではあるが, 現実にこれらの疾患は, 身体的活動, 社会的活動, 対人関係, 精神面, あるいは性生活など, 多岐にわたる領域で日常生活に支障を来すため, 疾患の重症度や治療の有効性は, 臨床医学的パラメーターのみで評価することは困難であり, 重症度評価, 治療法選択, 治療効果判定においては, QOLの評価は不可欠である.
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※記事の内容は雑誌掲載時のものです。