女性骨盤底医学の最前線
尿失禁の手術療法
排尿障害プラクティス Vol.14 No.3, 23-30, 2006
腹圧性尿失禁(stress urinary incontinence;SUI)に対する手術の歴史は, SUIの発生原因を考える尿禁制理論の歴史ともいえる. 膀胱頸部挙上術であるBurch法は現在もgold standardとして行われるが, integral theoryに基づくTVT(tension-free vaginal tape)手術は成績が同等なうえ低侵襲であり, gold standardな術式となった. さらにTOT(transobturator tape)手術はTVT手術による腸管損傷や大血管損傷を回避する目的で発明された. 尿道周囲注入術は重度の内因性尿道括約筋不全(Intrinsic urethral sphincter deficiency;ISD)に対し貴重な治療の選択肢である. 【はじめに】腹圧性尿失禁(stress urinary incontinence;SUI)に対する根治術は1880年より試みられ, 現在に至るまで百数十種類の術式が報告されている. なぜこれほどまでに多くの尿失禁根治術が開発され, 現れては次世代の手術に代替されてきたのかと考えるとき, 女性の腹圧性尿失禁の発生原因が, 真にはいまだ解明されていないという事実に行き当たる.
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