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特集 循環器疾患を見据えた糖尿病治療戦略

トピック 糖尿病治療の観点からみたSGLT-2阻害薬

広村宗範平野勉

CARDIAC PRACTICE Vol.29 No.3, 63-69, 2018

2015年に血糖降下薬のsodium glucose co-transporter-2(SGLT-2)阻害薬の1つであるエンパグリフロジンを用いた心血管症に関するEMPA-REG OUTCOME試験で驚くべき結果が発表された。心血管症ハイリスクの2型糖尿病患者に対するエンパグリフロジンの投与は,3年という短期間で主要複合エンドポイント(心血管死,心筋梗塞,脳卒中)を有意に低下させ,さらには総死亡率も有意に低下させた1)。それまでdipeptidyl peptidase-4(DPP-4)阻害薬を含む糖尿病治療薬を用いた前向き大規模臨床試験において,心血管症に関する優越性は証明されておらず,今後の糖尿病治療の指針に大きな影響を与えることとなった。さらに2017年には,SGLT-2阻害薬のカナグリフロジンを用いたCANVAS Program試験においても,同様の結果が得られた2)。またこの治療薬は,内因性インスリン分泌が保たれた肥満患者において有効性が高いものと考えられていたが,その後のサブグループ解析においてはアジア人において全体よりもさらに強く心血管症抑制に影響することが示されている3)。そのため,わが国においても非常に期待される薬剤である。ここでは主に糖尿病・代謝からの視点でSGLT-2阻害薬について概説することとする。
「KEY WORDS」SGLT-2阻害薬,心血管疾患,心不全

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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