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第34回日本栄養アセスメント研究会発表演題より

MNA®による栄養評価のピットフォールの研究

Study of pitfall of nutritional assessment by MNA®

小澤惠子福永あゆ荒田桃子北代智子中嶋容子小西小百合西村直子布施順子福永恵美子山田圭子松村幸代伊藤明彦中村文泰櫛渕統一佐々木雅也

栄養-評価と治療 Vol.29 No.1, 20-23, 2012

SUMMARY
近年高齢者に対する栄養アセスメントのツールとして,Mini Nutritional Assessment®が推奨されている。評価ポイントにより栄養状態を判定するこの評価法について,ADLの低い高齢者では,「C:移動性」・「F:BMI」においてポイントが低くなり,必要以上に低栄養状態と判定される可能性があるのではないかと考えられた。

KEY WORDS
■ 高齢者 ■ 栄養アセスメント ■ MNA®-SF ■ ADL ■ BMI

Ⅰ はじめに

 栄養状態を見極めるアセスメントのツールとしては,主観的包括的アセスメント(SGA)・客観的栄養評価法・MUST(Malnutrition universal screening tool)などいくつかの評価方法がある。近年,特に高齢者(65歳以上)に対する栄養アセスメントのツールとしてMini Nutritional Assessment®(MNA®)(図1)が推奨され,簡略型として開発されたMNA®-Short Form(MNA®-SF)の使用も年々増加している。

 MNA®-SFの質問項目は,「A:過去3ヵ月間における栄養摂取量の減少」,「B:過去3ヵ月間における体重減少」,「C:自力で歩けるか(移動性)」,「D:過去3ヵ月間における精神的ストレス・急性疾患」,「E:神経・精神的問題の有無(認知症の有無)」,「F1:BMI(body mass index)」の6項目で構成され,それぞれの評価ポイントの合計で栄養状態の判定を行う(図2)。

「C:移動性」・「E:認知症の有無」については,寝たきりと認知障害が高齢者の低栄養に強く影響を与えることから,これら2項目のチェックがMNA®の特徴となっている。また,BMIの測定不可能な患者に対し「F2:ふくらはぎの周囲長(cm)」による評価がその代用になることも大きな特徴である。血液生化学的検査を必要とせず,簡易的な問診と身体計測により栄養状態の評価が可能なMNA®は,簡便かつ迅速にAt riskの抽出を行い,早期からの栄養介入ができることから,高齢者の低栄養改善に大きく期待されるところである1)。

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