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エネルギー代謝と遺伝子発現調節

第6回 脂肪細胞分化とエピゲノム制御

酒井寿郎

The Lipid Vol.27 No.1, 73-78, 2016

「エピゲノムとは」われわれ人間の体は約200種類の細胞から構成され,全細胞数は60兆個にも及ぶ.これらさまざまの細胞は1個の受精卵,同一のゲノムから分化していく.われわれ人間の細胞ではゲノムとよばれる30億塩基対から成るDNAを有し,このゲノムに基本的な情報が書き込まれている.しかしなぜ,1個の受精卵,同じゲノムから200種類もの細胞に分化するのであろうか?この疑問に答えるのがエピゲノムである.21世紀に入りゲノムが解読されると,受精卵ののち,ゲノムは細胞外の環境の変化によりエピゲノムとして修飾されていくことが明らかにされてきた.DNA塩基配列以外のDNAのメチル化とヒストン修飾で維持・伝達される遺伝情報をエピゲノムとよぶ.これらの修飾の違いにより,同一のゲノムを有しながらも発現する遺伝子が異なり,この組み合わせが細胞の種類を決定していく.
「キーワード」クロマチン,長距離ルーピング,遠隔エンハンサー,ヒストン,脱メチル化酵素,H3K4/H3K9ビバレントクロマチン

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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