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脂肪細胞 第4回 褐色脂肪細胞

杉原甫千葉政一青木茂久井手口浩幸川崎東太

The Lipid Vol.23 No.4, 4-22, 2012

「褐色脂肪細胞・褐色脂肪組織の系統生物学」ヒトなどの哺乳類の褐色脂肪組織(brown adipose tissue; BAT)は, 胎生期より発生し, 主に筋芽細胞から分化した褐色脂肪細胞(brown adipose cell; BAc)で構成され, 被膜, 支配動静脈および支配神経系を有し, 充実性軟部組織として大血管周囲などに広く分布する. BAcは細胞質内に脂肪滴および脱共役蛋白質(uncoupling proteins; UCPs)を発現するミトコンドリアを豊富に有し, エネルギー基質から取り出した余剰電子エネルギーを熱エネルギーに変換し, 過剰な酸化反応を抑制しながら同時に体温を産生する. BATの発生学的局在, 支配動静脈および支配神経系は, これらの機能制御に深く関与する. 一方で, UCPsおよびBAT/BAcを有する生物種の分布には, 大きな地域差が存在する(図1). 例えば, 哺乳類BATの特異的機構のひとつとされるUCP1は, 世界中の魚類や両生類に広く分布するが, UCP1とBATの共発現は, 北半球優位な有胎盤哺乳類に特に集中する(図1).

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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