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Ⅲ アディポサイエンス・クリニカル 異所性脂肪のフロンティア

Diabetes Frontier Vol.27 No.3, 343-349, 2016

「はじめに」肥満症は,インスリン抵抗性,インスリン分泌障害をきたすことで脂質異常症,耐糖能障害,高血圧症のリスクが重積する1)。インスリン抵抗性,インスリン分泌障害あるいは心臓血管病のメカニズムとして,脂肪細胞以外の臓器における異所性脂肪(ectopic fat)が注目されている2)(図1)。本稿では,異所性脂肪・心臓脂肪の,生活習慣病や心臓血管病の病態における役割について,臨床的な視点からまとめた。
「Ⅰ.内臓脂肪型肥満と異所性脂肪」肥満症で,耐糖能異常や心臓血管病が増える機序は,2つに分けることができる。第一,脂肪組織における①アディポサイトカイン(アディポカイン)調節異常,②脂肪細胞機能異常が初めにあって,各臓器に耐糖能異常(境界型,2型糖尿病)を惹起し,その結果心臓血管病が起こるという考え。第二,インスリン感受性臓器(肝臓,骨格筋,心臓血管系,視床下部など)の糖脂質,エネルギーの出納バランスが崩れて起こる異所性脂肪蓄積が,耐糖能異常と並行して心臓血管病を起こすという考え,である2)3)。脂肪組織と各臓器は,相互に連携しており両者を分けて考えることはしばしば難しいが,脂肪組織から各臓器へのエネルギー基質やホルモン分子の供給と各臓器での処理をシステムとして捉えながら,耐糖能異常の起こり方,心臓血管病の起こり方,にどう関わるか考えることが鍵となる。
「key words」異所性脂肪,心臓脂肪,内臓肥満症,糖尿病,インスリン抵抗性

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

抄録