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基礎講座 糖尿病と実践臨床統計学

多変量解析とは何か

山岡和枝

Diabetes Frontier Vol.25 No.5, 603-609, 2014

「はじめに」2型糖尿病などの非感染性疾患の原因は単一なものではなく,遺伝的なもの,食習慣,運動習慣,職業,地域環境,行動パターンなど多くの要因がその発生に複雑に関与している。多変量解析は,このような複雑に絡み合った要因で規定されていると考えられる事象に,要因がどのように作用するかを見極めるために,事象とその要因との関連を多次元データに基づいて,①事象の簡潔な記述,②事象に対する要因の影響の評価,③要因効果の関連状況を探り当てるための一連の統計的方法の総称をいう。狭義には多変量正規分布を仮定した一連の方法を示す。多次元データ解析ともいい,医学をはじめ,さまざまな分野で広く使用されている。本稿ではモデルの概要として多変量解析の基本的な分析方法について述べ,特に医学領域で要因調整の方法としてよく用いられる重回帰分析・共分散分析,ロジスティック回帰モデル,Cox比例ハザードモデルについて概説する。
「Key Words」一般線形モデル/多変量調節/重回帰分析/ロジスティック回帰モデル/Cox比例ハザードモデル

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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