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特集 糖尿病強化療法―低血糖を巡る諸問題

Ⅲ.糖尿病薬物治療における低血糖回避の試み―最近の進歩 持続血糖モニターを応用する処方の安全化

西村理明

Diabetes Frontier Vol.25 No.4, 472-479, 2014

[はじめに] 糖尿病の治療目標は, 糖尿病による合併症の発症を予防すること, さらに合併症がすでにある場合はその進展を阻止することによって, 健康な人と変わらない日常生活の質を維持し, さらには健康な人と変わらない寿命を確保することである1). 糖尿病治療における血糖コントロール指標として主にHbA1cと血糖値が用いられている. しかし, HbA1cは基本的に長期にわたる血糖変動の平均値を反映する指標であるため2), 日々の細かな血糖変動をあまり反映しない3).
[I. 血糖変動を捉えるには] 糖尿病患者の血糖変動を把握するために, 世界中で頻用されている手段は血糖自己測定(self-monitoring of blood glucose: SMBG)である. しかし, SMBGは測定時点の血糖値を把握することができるが, 測定時点の血糖値が上昇傾向にあるか, 変化がないのか, 下降傾向にあるのか推定することは困難である.

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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