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特集 小児・思春期糖尿病の最近の動向

小児・思春期2型糖尿病発症における日本と諸外国との相違

浦上達彦

Diabetes Frontier Vol.23 No.6, 684-689, 2012

「はじめに」2型糖尿病はインスリン抵抗性と血糖上昇に対するインスリン分泌障害が共存して発症する. すなわち, 発症前からインスリン抵抗性を有する対象が, 病初期には代償性の高インスリン血症によって血糖は正常域に保たれているが, 生活習慣・食生活の劣悪化や肥満の増悪などにより徐々にインスリン抵抗性が増大して高血糖を示すようになる. そして種々のストレスに起因する膵β細胞のアポトーシスによって膵β細胞数が減少し顕性の糖尿病へと進展する1). ところで日本人成人の2型糖尿病の特徴として, 日本人は欧米白人と比べて軽度の肥満でも2型糖尿病を発症すると報告される2). このことは, 日本人は人種的に非肥満~軽度肥満でもインスリン抵抗性を有しており, さらに血糖上昇に対する初期インスリン分泌反応が障害されているために糖尿病を発症しやすいと理解されている. また欧米白人2型糖尿病の研究3)では, 臨床的に2型糖尿病と診断された症例で膵島特異的自己抗体を有するものが10%内外存在し, その成因として1型糖尿病に類似した膵島特異的自己免疫の関与が報告されている.
「key words」2型糖尿病,肥満,インスリン抵抗性,インスリン分泌,膵島特異的自己免疫

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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