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特集 糖尿病と妊娠における新たな展開

妊娠時の膵β細胞機能における新知見

豊福優希子内田豊義綿田裕孝

Diabetes Frontier Vol.23 No.4, 407-412, 2012

「はじめに」糖尿病の患者数は世界中で増加の一途をたどっている. その原因として考えられるのは, 近年の食習慣の欧米化により, 高脂肪, 高栄養の食事摂取量の増加や, 生活習慣の変化に伴う慢性的な運動不足などによるエネルギー消費の減少である. その結果, 肥満人口が増加した. 肥満は内臓脂肪の蓄積によるインスリン抵抗性状態を引き起こし, 血糖コントロールが正常に維持できない状態に陥ると2型糖尿病を発症する. 健常な膵β細胞は, インスリン抵抗性が出現した時に, それを代償する能力を有している. この代償機構には個々の膵β細胞からのインスリン分泌能の増加とともに膵β細胞容積増加機構も重要な役割を果たす. 2型糖尿病患者ではこのインスリン抵抗性に対する代償機構が減弱し, 膵β細胞容積が低下していることが致命的欠陥である. したがって, 膵β細胞のインスリン抵抗性に対する代償機構のメカニズム, および2型糖尿病の根本病態が解明できれば, 新規治療法が開拓できるのではないかと考える.
「key words」妊娠,膵β細胞,セロトニン,プロラクチン

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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