総説
膵β細胞の非侵襲的定量法開発の現状
Diabetes Frontier Vol.23 No.4, 391-397, 2012
「はじめに」2型糖尿病では, 剖検膵や手術での摘出膵を用いた研究において, 発症時にすでに膵β細胞量が減少していることが報告されている. 糖尿病は, 膵β細胞量と機能の両方もしくはいずれかが著明に減少し代償能を超えて破綻することによって発症すると考えられる. この過程に膵β細胞の量と機能の変化がどのように寄与しているのか理解するためには, 膵β細胞量の変化を経時的に解析する必要がある. しかしながら, 非侵襲的に経時的に膵β細胞量を定量する技術はこれまで存在しなかった. 本稿では, 膵β細胞量の非侵襲的観察, 経時的観察, そして定量解析法に関する研究の現状と展望について概説する. 「I 膵β細胞定量に求められる画像診断機器の性能」ヒトの膵臓には数十~数百μmほどの大きさしかない膵島が100万個ほど外分泌腺の中に散在している. また, 膵臓の周囲にはさまざまな臓器が存在する. そのため, 膵β細胞量を個々の膵島単位で数量を含めて定量するためには, μmオーダーの高解像度の撮像機器が必要となる.
「Key Words」2型糖尿病,膵β細胞量,イメージング,PET,GLP-1受容体
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