<< 一覧に戻る

特集 私が経験した大震災からみた糖尿病対策への提言

東日本大震災の経験から Ⅴ 福島県の経験から(1)

佐藤博亮

Diabetes Frontier Vol.23 No.2, 178-182, 2012

「はじめに」 2011年3月11日に発生した東日本大震災による大地震と大津波は, 岩手, 宮城, 福島県に甚大な被害をもたらした. さらに福島県は, 東京電力株式会社福島第一原子力発電所の水素爆発事故による甚大な被害を受け, 岩手県や宮城県と異なった状況にあり, 本稿ではその点も踏まえて, この大震災を経験して明らかになった糖尿病診療の問題点などを中心に述べる. 「I. 東日本大震災と原発事故」 2011年3月11日金曜日午後2時46分に発生した三陸沖から茨城県沖を震源とする世界観測史上最大級のマグニチュード9.0の大地震と大津波は, 岩手, 宮城, 福島の東北地方太平洋沿岸部に甚大な被害をもたらした. 福島県は, 震度5強~6強の大地震と巨大津波により, 死者1,846人, 行方不明120人, 住宅全壊18,223棟とそれなりに大きな被害を受けた(図1). さらに翌12日土曜日午後3時36分に東京電力株式会社福島第一原子力発電所1号機が水素爆発し(図2), 14日月曜日午前11時1分に同3号機が水素爆発し, 15日火曜日6時10分に同4号機が爆発し, 放射性物質の漏えいが起こり, 福島第一原子力発電所から半径20km圏内が立ち入り禁止区域となり, 半径20~30km圏内は, 計画的避難準備区域となり, 子供, 妊婦, 入院患者は立ち入らないよう求められ, この地域での入院治療が行われない状態になり, 49,805人が避難を余儀なくされるとともに, 半径20km圏内の入院患者と介護施設入所者約1,000名, 半径20~30km圏内の入院患者と介護施設入所者約500名が福島県内や他県の病院や介護施設への搬送を余儀なくされた.
「key words」患者情報の共有化,情報網の確立,ガソリン不足,原発事故,放射性セシウム

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

一覧に戻る