特集 私が経験した大震災からみた糖尿病対策への提言
東日本大震災の経験から Ⅲ 岩手県の経験から(4)
Diabetes Frontier Vol.23 No.2, 156-160, 2012
「はじめに」 私は岩手県盛岡市に住んでおり, 東日本大震災では全く被害を受けなかったといっていいくらいであった. しかし, 津波被害の甚大な岩手県沿岸地区への直接的な支援は, 私が被災直後に活動可能な支援組織に属していなかったことや, 普段の活動で沿岸地区の看護職の人たちとの面識が薄かったこともあり, ほとんどできない状況であった. そのような状況の中で岩手医科大学・佐藤譲教授が代表の, 日本糖尿病学会による「東日本大震災から見た災害時の糖尿病医療体制構築のための調査研究」委員会のメンバーに入れていただき, 岩手県沿岸の患者に直接体験をうかがえる面接調査に中心的な立場として参加できたことと, 郵送による質問紙調査の結果をまとめる機会を得たことでみえてきた, 今後の療養指導に生かせると思われることについていくつか述べさせていただきたい. 「I. 調査方法」 患者調査は面接調査と質問紙調査を平行して行い, そのうち岩手県沿岸における面接調査は2011年9月から12月までの間に行った.
「key words」糖尿病患者,災害対策,相互交流型患者教育,病状の理解,被災体験
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。